空蝉(うつせみ)のお箸ギフトセット


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お得意様のお客様から、「今度退職する上司の方への退職祝いに贈りたいのですが、少し螺鈿が落ち着いていて渋めの雰囲気のお箸はないですか?」とご相談を頂戴しました。

こういったご相談は、いろいろなお箸を改めてじっくり見る事ができ、新しい発見もあるのでお箸屋の店主としては、とても楽しい時間です。自分なりにいくつかセレクトをし、ご提案をさせていただきました。

 

その中からお選びいただいたのが、この「空蝉(うつせみ)」のお箸のギフトセット。

 

「空蝉(うつせみ)」は全体的には、パールがかっていてとても落ち着いたトーンのブラウンと赤い色の夫婦箸です。
お箸の上部には金色かかった小さすぎず大きすぎずほど良い大きさの貝の螺鈿が市松にはいっており、とてもきれいな上品なお箸で、一目で気に入ってしまいました。
結果、お客様にもお気に召していただき、こちらをお選びいただきました。

 
「空蝉(うつせみ)」と聞くと、店主はやはり「源氏物語」をついつい思い出してしまいます。

やはり女性なら皆様ご存知かと思いますが、大和和紀さんの「あさきゆめみし」の源氏物語ですね。大好きな本でした。

ふと、「空蝉(うつせみ)」ってどういう意味なんだろうと調べてみました。

 
■ うつせみ【空蝉】 

1 この世に現に生きている人。転じて、この世。うつしみ。
2 《「空蝉」「虚蝉」などの字を当てたところから》蝉の抜け殻。

 
ただただ、はかなげで幻のような直接的なイメージでしか捉えていませんでしたが、『この世に生きているひと、この世』とは、とても深い言葉だったんですね。

きっとこの言葉は、もっと年数を生きて時間を重ねていく中で、じんわりと感じていくものなのだろう。
と、まだまだ未熟な店主はそう思いながらお箸をみていました。

 

「空蝉(うつせみ)」はその名前のように不思議な、印象に残る素敵なお箸でした。